前立腺生検とは
血液検査(PSA測定)、MRIなどの画像診断、または触診で前立腺に異常を指摘された方は、癌が無いかどうかを調べるために精密検査をする必要性があります。
前立腺の組織を何カ所かから採取して、顕微鏡で検査することを「生検」といいます。
PSAとは
PSAとは、前立腺細胞で特異的に産生される蛋白質です。正常の前立腺細胞でも作られていますが、通常は血液中に漏れ出ることは少ないために血液検査で測定しても低い値となります(64歳以下は3.0以下、65-69歳は3.5以下、70歳以上は4.0以下)。
しかし、前立腺癌になると癌細胞から分泌されたPSAは血中に漏れやすくなり、癌病巣が大きくなるにつれて血液中のPSA濃度は高くなります。ただし、良性の前立腺肥大症や前立腺に炎症を起こした場合でもPSAは高くなるため、PSAが高いことイコール前立腺癌とは限りません。
PSAが高くなる原因はとしては、
- 1.前立腺癌
- 2.前立腺肥大症
- 3.前立腺の炎症
の3つの可能性があります。
PSAの値だけではそれらを区別することができないため、診断の確定には「前立腺生検」が必要となるのです。
当院での前立腺生検法
当院では、日帰りで前立腺生検を行っております。
前立腺生検にはいくつかの方法がありますが、当院では麻酔下に肛門から挿入したエコーで前立腺を観察しながら、会陰部(陰嚢と肛門の間の部分)から細い針を刺入する方法で行います。
◇ 当院の日帰り前立腺生検の特徴
1.痛みが少ない
仙骨硬膜外麻酔を行っていますので、ほとんど痛みを感じることなく受けて頂けます。
2.費用負担が少ない
外来で対応していますので、お仕事などで忙しい方にも気軽に受けて頂け、費用も入院の半分以下で済みます。
3.無駄が少ない
PSAは1回の測定で高値でも、少し期間をおいて再検査すると基準値以下になっているということもあります。2回以上PSA高値が確認された方のみに、生検をお勧めしています。
また、比較的高齢の方(70歳代後半以上の方)はすぐに生検をせずにしばらくPSA値の推移を観察し、PSAが上昇傾向で癌が非常に疑わしい場合に生検をお勧めしています。
4.リスクが少ない
前立腺生検には、感染、血尿、尿閉(尿が出なくなること)などいくつかの合併症があります。その中で感染は重症になることもあり最も重要ですが、当院で行っている会陰部(陰嚢と肛門の間)からの生検では、そのような危険はほとんどありません。
前立腺癌には、年齢、進行度、合併症の有無などに応じて手術、放射線治療、ホルモン治療、無治療経過観察など様々な治療の選択肢があります。患者様ごとの状況とご希望について充分相談しながら、必要な場合は適切な施設へご紹介しております。